福岡地方裁判所 昭和60年(わ)1706号 判決
主文
被告人を懲役一〇月に処する。
未決勾留日数中三〇日を右刑に算入する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、甲、乙と共謀のうえ、九州電力株式会社(以下、九州電力という。)から電気の供給を受けている福岡県○○市大字○○××番地パチンコ○○こと右乙方店舗内に九州電力が電気の使用量を計量するため設置している電力量計の作動を減速させ、九州電力の右乙に対する正当な電気料金の計算徴収業務を妨害しようと企て、昭和六〇年三月中旬ころ、右乙方店舗において、同所に設置されていた九州電力の電力量計を収納している計器ボックスを開け、その内部の電力量計とテストスイッチ間に配線してある3Lの記号表示のある部分の電線をテストスイッチ側のターミナル端子から抜き出し切断して電力量計への通電を妨げ、その作動を減速させて実際の使用電力量より少ない電力量を指示するような工作をなし、もつて偽計を用いて九州電力の右乙に対する正当な電気料金の計算徴収業務を妨害したものである。
(証拠の標目)〈省略〉
(累犯前科)〈省略〉
(法令の適用)
被告人の判示所為は刑法六〇条、二三三条、罰金等臨時措置法三条一項一号に該当するので所定刑中懲役刑を選択し、被告人には前記前科があるので刑法五六条一項、五七条により再犯の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役一〇月に処し、同法二一条を適用して未決勾留日数のうち三〇日を右の刑に算入することとする。
よつて主文のとおり判決する。
(裁判官中野久利)